社会保険労務士 |
人事・労務管理、社会保険の専門家であることを示す国家資格のこと。社労士(しゃろうし)と呼ばれることもあり、独立開業して活動する開業社労士や企業の人事・総務部等で勤務する勤務社労士などが存在する。その業務内容は、主に、各種社会保険の手続代行業務、就業規則などの書類作成業務、人事制度の設計や労務管理に関するコンサルティング業務などである。 |
特定社会保険労務士 |
社会保険労務士の中でも、紛争解決手続代理業務試験に合格し、個々の労働者と使用者の間で起こった紛争の解決のための裁判外紛争解決手続(ADR)において代理人となることができる社会保険労務士のこと。特定社会保険労務士が代理人となることができるADRは、以下のとおりである。 ・個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争の目的価額が120万円を超える事件は弁護士の共同受任が必要) ・個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理 ・男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理 ・個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理 |
労働基準法 |
労働者の労働条件について最低基準を定めた法律のこと。使用者と労働者は、形式上、賃金や労働時間などの労働条件について、対等平等な立場において契約を結ぶことができることになっている。しかし実際には、使用者がはるかに有利な立場にあり、両者の自由に任せ、この状況を看過すれば、労働者は劣悪な労働条件を強いられることになると考えられたことから、労働者を保護するために、民法上の雇用契約について一定の制限が設けられた。なお、この法律は、労働者を使用するすべての事業または事業所に適用される。 |
労働安全衛生法 |
職場における労働者の安全と健康を確保することと、快適な作業環境づくりの促進することを目的とした法律のこと。この目的達成のために、労働災害を防止する様々な基準を定め、責任体制の明確化、自主的活動の促進など、総合的計画的な対策を推進している。衛生管理者、産業医などの各種責任者の選任義務や健康診断の実施義務、機械・有害物の規制などがこの法律に定めがある。 |
労働者災害補償保険法(労災保険法) |
業務中または通勤途上に災害に遭い、労働者が負傷し、疾病にかかり、障害が残り、または死亡した場合などに、被災労働者またはその遺族に、保険給付を行うことで労働者やその遺族の福祉の増進に寄与することを主な目的とした法律のこと。業務上の災害(業務災害)については、労働基準法に基づき、使用者がその補償をしなければならないが、労働者が確実に補償を受けられるよう、また、事業主の補償負担軽減のために、この法律が設けられている。この法律は、原則として労働者を使用するすべての事業に適用される。なお、給付の対象は、適用事業に使用されているすべての労働者である。 |
雇用保険法 |
労働者が失業し求職を行う場合の基本手当の支給などが定められた、労働者の生活および雇用の安定を図ることを目的とする法律のこと。雇用保険には、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付などを行う失業等給付と、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るために行なわれる雇用安定事業がある。被保険者資格の取得対象となる労働者を1人でも使用すれば、原則、適用事業場として、この法律の適用を受ける。 |
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 |
労働保険の事業の効率的な運営を図るために、労働保険の保険関係の成立および消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合などに関する事項が定められた法律のこと。労働保険の保険料は、4月1日から翌年3月31日までを1年度とし、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度に確定額を申告の上、精算することになっている。 |
健康保険法 |
被保険者及び被扶養者の業務外の事由による疾病、負傷、死亡、出産について保険給付を行うことで、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とした法律のこと。労災保険が労働者の業務中の災害についての補償をしていることに対し、健康保険は業務外の事由が補償の対象となる。 |
国民年金法 |
老齢、障害、死亡により国民生活の安定が損なわれることについて、基本的には年金給付を行うことで、健全な国民生活の維持および向上に寄与することを目的とする法律のこと。被保険者は、自営業者、学生などが属する第一号被保険者、企業に勤め被用者年金制度に加入するサラリーマンが属する第二号被保険者、第二号被保険者に扶養される配偶者が属する第三号被保険者の3つに分類される。国民年金のいずれかの被保険者には必ず該当することになるため、国民皆年金となっている。 |
厚生年金保険法 |
被保険者の老齢、障害、死亡について、基本的には年金給付を行うことで、被保険者またはその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする法律のこと。年金はよく建物に例えられるが、国民年金が年金の1階部分とすれば、厚生年金保険は、いわゆるサラリーマンに適用される2階建て部分である。 |
都道府県労働局 |
労働基準法等の監督機関として各都道府県に1つずつ置かれている機関。 |
社会保険(広義) |
医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の総称。疾病、老齢・障害、失業、労災事故、介護等は生活上発生しうるリスクであり、このリスクに対し保険給付が受けられるよう保険制度が整備されている。 |
社会保険(狭義) |
「社会保険(広義)」のうち、医療保険、年金保険および介護保険を指して呼ぶ。 |
労働保険 |
「社会保険(広義)」のうち、雇用保険および労災保険を指して呼ぶ。 |
私保険 |
国や地方公共団体が政策上行う保険ではなく、国民個人が任意で加入する保険。生命保険や損害保険等、目的に応じた多種多様な保険がある。 |
一般事業主行動計画 |
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画と女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の2つがある。ともに常時雇用する労働者が101人以上の事業主が対象となっている。 |
労働者 |
労働基準法では、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義され、労働契約法では「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」と定義される。 |
使用者 |
労働基準法では、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と定義され、労働契約法では「使用する労働者に対して賃金を支払う者」と定義される。 |
労使協定 |
事業場における労働者の過半数代表と締結する協定のことをいう。労働者の過半数代表とは、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者をいう。 |
労働組合(ユニオン) |
原則として、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。日本では企業ごとに労働組合が組織されるケースが多くあったが、近年、その組織率は低下し、個人が個別に加入できるような組合が増加している。ユニオンともいう。 |
パートタイマー |
1週間の所定労働時間が正社員の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者のことを指す。一般的には労働時間のほか、補助的業務を行う時給者を指す傾向が見られる。法律上は、「短時間労働者」と位置づけられている。 |
フルタイムパート |
1週間の所定労働時間が正社員と同じ労働者で、補助的業務を行う時給者を指す傾向が見られる。法律上の「短時間労働者」には含まれない。 |
アルバイト |
一般的には1週間の所定労働時間が正社員の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者で、本業とは別に臨時的収入を求めて働く労働者のことを指す。 |
労働条件通知書 |
労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示した書面。明示する事項は口頭でもよいものと必ず書面によらなければならないものとある。 |
雇用契約書 |
労働条件の内容を契約書として書面にしたもの。労働契約は口頭でも成立するが、後々のトラブルを防止するために、労働条件を書面にして労使双方で確認することは近年、重要なことになっている。 |
身元保証人 |
労働者が業務上のミスや不正により会社に損害を与えたとき、労働者と連帯して責任を負う人のことを指す。入社時に身元保証人が署名・捺印した身元保証書を提出させるケースも多く見受けられる。 |
解雇 |
労働者の合意なく、使用者の一方的な意思表示により雇用契約を解約すること。労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されている。 |
整理解雇 |
業績の低迷など企業経営上、一定の人員削減が必要なときに行われる解雇のこと。原則として、人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、手続きの妥当性、という整理解雇の4要件(4要素)を満たすことが必要とされている。 |
懲戒解雇 |
労働者が企業内秩序を乱したときに、就業規則上のもっとも重い懲戒処分として行われる解雇のこと。懲戒解雇の場合は即時に解雇し、退職金の全部または一部が不支給とされる例が多い。なお解雇予告、もしくは解雇予告手当を支払うことなく即時解雇するためには、所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定申請書を提出し、その認定を受けなければならない。 |
解雇予告 |
使用者は労働者を解雇しようとする場合は、原則として少なくとも30日前に予告をしなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合や労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、労働基準監督署長の認定を受けることにより、予告は免除される。 |
雇止め |
有期労働契約の労働者の契約満了時に、契約更新を行わずに契約を終了すること。有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準においては、使用者は、有期労働契約の締結に際しては、更新の有無と判断の基準を、明示しなければならないとしている。 |
無期転換申込権 |
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、労働者が使用者に対して無期労働契約への転換を申し込むことができる権利。 |
振替休日 |
事前に労働日と休日を振替える休日のこと。これにより振替える休日が法定(所定)休日であった場合でも労働日になるため法定(所定)休日割増賃金の支払いが不要になる。 |
代休 |
休日に労働させた代償措置として、事後に別の労働日に与える休日のこと。代休を与えても法定(所定)休日に働かせた事実に変わりはないため、法定(所定)休日割増賃金の支払いが必要となる。 |
是正勧告書 |
労働基準監督官が事業場に対し監督調査等を行い、労働関係法令違反があった場合に企業に対し交付する文書。是正事項と是正期日が記載されているため、事業場は是正期日までに指摘された違反箇所を是正し、報告しなければならない。 |
指導票 |
労働基準監督官が事業場に対し監督調査等を行い、労働関係法令に明確な違反があるわけではないものの、労働関係法令の趣旨に照らして改善した方が望ましいと思われる事項、後々労働関連法令の違反に繋がる可能性がある事項を改善すべき旨記載し、交付する文書。 |
36協定 |
正式には、「時間外労働・休日労働に関する協定」という。根拠規定が労働基準法第36条にあるため、一般的には「36協定」と呼ばれている。この36協定を締結し労働基準監督署に届け出ることにより、法定労働時間を超えてまたは、法定休日に働かせても労働基準法違反にはならないとする効果を持つ。但し、法改正により時間外労働の上限規制が行われている。 |
労働時間 |
一般的に労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指す。 |
時間外労働(残業) |
一般的には所定労働時間を超えて労働する時間をいう。時間外労働には、労働基準法第32条で定める法定労働時間を超えて労働する時間外労働と、所定労働時間を超え、法定労働時間内で労働する時間外労働の2種類に分けて把握されることがある。前者を法定外労働、後者を所定外労働や法定内残業等と呼ぶことがある。 |
休憩時間 |
労働者が使用者の指揮命令から解放され、自由に利用できる時間のことをいう。使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては45分以上を、8時間を超える場合には60分以上を労働時間の途中に与える必要がある。 |
拘束時間 |
始業時間から終業時間までの時間のことをいう。労働時間と休憩時間の合計が拘束時間となる。 |
深夜 |
原則として午後10時から午前5時までの時間をいう。この時間帯に労働させた場合においては、法定の深夜割増賃金(2割5分)を支払わなければならない。また、原則として年少者、請求をした妊産婦には深夜労働をさせてはならないことになっている。 |
賃金 |
賃金、給料、手当、賞与その他名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。賃金の支払方法については、5つの原則(通貨払いの原則、直接払い原則、全額払いの原則、毎月1回以上払いの原則、一定期日払いの原則)があり、また都道府県別に最低賃金が定められているため、賃金を支給する際にはその金額以上に設定する必要がある。 |
休日 |
雇用契約上、労働者が使用者から労働を免除され、働く義務のない日のことをいう。労働基準法において、使用者は1週間に少なくとも1日の休日を与えなければならないとされている。ただし、例外として4週間を通じ4日以上の休日を与えることも認められている。また休日に労働させた場合には原則として割増賃金の支払いが必要となる。 |
産前休業 |
6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定のある女性労働者が、本人の希望により取得できる休業。使用者は女性労働者から請求があれば、産前休業を与えなければならない。 |
産後休業 |
産後8週間を経過しない女性労働者は就業することはできない。ただし、産後6週間を経過した女性労働者が就業を希望し、医師が認めた場合には例外的に就業させることができる。 |
健康診断 |
疾病の予防や早期発見を目的とした医師による診療・検査であり、労働安全衛生法において使用者が労働者に対し実施しなければならないもの。健康診断には、年に1回以上の実施が必要な定期健康診断や有害業務に従事する者に実施する特殊健康診断など様々な種類がある。近年は企業に安全配慮義務が強く求められるようになっていることから、健康診断の重要性は非常に高くなっている。 |
労働法 |
労働に関係する法律の総称であり、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などが含まれる。なお、日本では労働法という名称の個別の法律は存在しない。 |
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