文書作成日:2024/10/22

2024年10月より支給要件が見直しとなった特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

厚生労働省では、雇入れや仕事と家庭の両立支援等を図るために様々な助成金制度を設けていますが、そのひとつに、特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)(以下、「成長分野等人材確保・育成コース」という)があります。この助成金について、2024年10月から支給要件の見直しが行われました。以下では、この内容をとり上げます。

[1]成長分野等人材確保・育成コースとは
 この成長分野等人材確保・育成コースには、2つの助成メニューがあり、1つ目の成長分野メニューは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、成長分野の業務に従事させ、人材育成や職場定着に取り組む場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースと比較して、1.5倍の助成が行われます。この成長分野の業務とは、次の1と2が該当します。

  1. 「情報処理・通信技術者」または「その他の技術の職業」(データサイエンティストに限る)に該当する業務
  2. 「研究・技術の職業」に該当する業務(脱炭素・低炭素化などに関するものに限る)
 2つ目の人材育成メニューは、未経験の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、人材開発支援助成金による人材育成を行い、賃上げを行った場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースと比較して、1.5倍の助成を行うというものです。

[2]2024年10月からの支給要件の見直し
 [1]でとり上げた2つのメニューに関して、共通した見直しとして、対象となる労働者の要件を、「過去に通算1年以上の就労経験がない場合」から「過去5年間に通算1年以上の就労経験がない場合」に変更し、就労経験のない職業の判断について期間が限定されています。また、過去のパート・アルバイトとしての就労については、就労経験がないものとして扱われることになりました。
 次に、[1]でとり上げた2つ目の人材育成メニューに関して、「実施する教育訓練は50時間以上の訓練であること」が要件とされていましたが、「実施する教育訓練において、厚生労働大臣の指定する教育訓練給付の指定講座のうち公的職業資格の取得を目的とした教育訓練は50時間未満の訓練でも対象とすること」に緩和されています。この公的職業資格には、例えば普通自動車第2種運転免許等の業務独占資格や介護福祉士等の名称独占資格等が該当します。

 今回取り上げた成長分野等人材確保・育成コースは、例えば、対象労働者が障害者、60歳以上の者、母子家庭の母等の場合、特定求職者雇用開発助成金の「特定就職困難者コース」の支給要件も満たしていることが必要です。そのため、助成金の活用を検討される場合は、早めに支給要件の内容を確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、より利用しやすくなるよう制度の見直しを行います
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




厚生労働省調査からみる男女別の離職理由2024/10/15
連続する勤務や休憩時間に関するよくある質問2024/10/08
協会けんぽの被扶養者資格の再確認2024/10/01
30.1%まで上昇した男性の育児休業取得率2024/09/24
最大84円の引上げとなった2024年度の地域別最低賃金2024/09/17
企業に求められる過労死等防止のための対策2024/09/10
2023年度の労基署監督指導における賃金不払事案件数は21,349件2024/09/03
無用な解雇トラブルを防止するために知っておきたい解雇予告の注意点2024/08/27
厚労省審議会から示された最低賃金額改定「全国一律50円」が目安2024/08/20
電子申請が義務となる労働安全衛生関係の手続き2024/08/13
引き続きトップとなった「いじめ・嫌がらせ」の相談件数2024/08/06
2025年4月から厳格化される育児休業給付の延長手続き2024/07/30
増加する精神障害の労災支給決定件数 求められるハラスメント対策2024/07/23
来年4月に創設される「共働き・共育て」のための給付金2024/07/16
重要となる職場の熱中症予防対策2024/07/09
3年連続増加となった休業4日以上の死傷者数2024/07/02
特別休暇を設ける際のポイントと注目を浴びる孫休暇2024/06/25
今国会で改正された育児・介護休業法の概要2024/06/18
今国会で改正された雇用保険法の注目ポイント2024/06/11
賃上げに取り組む企業への公的支援2024/06/04
労災保険特別加入者の給付基礎日額の変更2024/05/28
在宅勤務手当と割増賃金の算定基礎等の整理2024/05/21
注意が必要な36協定の「1ヶ月の時間数」の考え方2024/05/14
障害者雇用の現状と障害者を雇用する際の課題・配慮事項2024/05/07
企業の不妊治療への支援制度と助成金制度2024/04/30
今後注目が高まる仕事と介護の両立における課題2024/04/23
業務災害で死亡や休業が発生した場合に提出が求められる死傷病報告2024/04/16
今すぐ確認したい転倒災害の現状と防止対策2024/04/09
今年も4月より始まった「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン2024/04/02
労働基準監督署の「定期監督等」において違反件数が多い項目2024/03/26
労働者数が50人以上の事業場で求められる労働安全衛生法上の対応2024/03/19
3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率2024/03/12
2024年4月1日から労災保険率が変更になります2024/03/05
広範な変更が予定される雇用保険法の改正動向2024/02/27
36協定を締結する際の注意点2024/02/20
4月より変更となる求人を行う際の労働条件の明示ルールの注意点2024/02/13
給与計算をする際に押さえておきたい端数処理の実務2024/02/06
民間企業の障害者実雇用率 過去最高の2.33%の実績2024/01/30
29.7%の企業が70歳まで働ける制度を導入2024/01/23
2024年4月から変わる無期転換に関する明示ルール2024/01/16
2024年1月から新設された育休代替要員等に対する助成金2024/01/09
今後数年のうちに施行される人事労務関連の法令改正2024/01/02
2024年4月1日より変わる裁量労働制2023/12/26
拡充されたキャリアアップ助成金「正社員化コース」2023/12/19
退職後に引き続き傷病手当金を受給する際のポイント2023/12/12
2024年4月から変わる有期労働契約の更新上限に関する事項2023/12/05
年休の取得率 初めて60%超え2023/11/28
事業主の証明により円滑化される被扶養者認定2023/11/21
厳格な運用が求められる変形労働時間制2023/11/14
2024年4月から変わる労働条件「就業場所・業務の変更の範囲」の明示ルール2023/11/07
最低賃金引上げに伴い賃上げに取り組む企業への公的支援2023/10/31
今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン2023/10/24

関連リンク

過去のPujerブログ